任天堂が2017年3月3日に発売した新型ゲーム機「Nintendo Switch」(価格は税別で2万9980円、米国では299.99ドル)。一新された形状、先進的な電源環境、将来の拡張性など、多くの魅力と可能性を秘めた意欲作だ。著者と付き合いのある部品メーカーは、2018年までの累計販売台数を「およそ3000万台」と予想する。今回は、このSwitchの内部に迫る。
http://www.nikkei.com/content/pic/20170428/96958A9F889DE3E6E4EBE2EAE3E2E1E2E2E1E0E2E3E5E2E2E2E2E2E2-DSXZZO1469263030032017000000-PN1-9.jpg

Switchの本体は、箱に入ったタブレット端末のような形状をしている。箱にあたる部分が「ドック」だ。ドックから取り出した本体の重量は、着脱可能な専用コントローラー「ジョイコン」を2個取り付けた状態で約398グラム弱、外した状態で約297グラム、厚さは13.9mmだ。先代の「Wii U」の画面付きコントローラー「Wii U GamePad」の重量500グラム、厚さ4cm以上に比べて、大幅に軽く・薄くなった。

 タッチパネルもWii Uの抵抗膜方式から、スマートフォン(スマホ)で広く使われている薄型化に適した静電容量方式となった。それでもiPadなど本物のタブレット端末に比べると少々厚い。

 これには、2つの理由が考えられる。1つは、「USB Type-C」のソケットやゲームカセットを入れるスロットがあること。もう1つはメインプロセッサーである米NVIDIA(エヌビディア)製チップの熱対策として、銅の熱伝導パイプと冷却ファンを搭載することだ。NVIDIAのチップは優れたグラフィックス性能を持つが、それと引き換えに熱放出量が大きいことで知られている。
http://www.nikkei.com/content/pic/20170428/96958A9F889DE3E6E4EBE2EAE3E2E1E2E2E1E0E2E3E5E2E2E2E2E2E2-DSXZZO1469270030032017000000-PN1-9.jpg

中略

Switchの推定原価は分解調査の結果、タブレット本体と充電ドックが約167米ドル、2個のジョイコンが約90米ドル。合計は約257米ドルである。

 これは実売価格から予想される原価より高額だ。特にジョイコンは小型なので原価はもう少し安いと予想していたが、片側の筐体(きょうたい)だけで20個近い小型パーツがある。

 ジョイコンはパーティーゲーム集「1-2 Switch」の卓球ソフトのように単体で使ったり、Switch本体の両側に装着して両手で使用したりする。こうした様々な使い方を実現するために、レールやユニットのような部品点数が増加したのだろう。

家庭用ゲーム機のフルモデルチェンジのサイクルは、4年から5年に1度と言われる。Switchはテレビに接続したり、外に持ち出したりと様々な利用形態に対応し、先進的な電源機構、将来の拡張性などを備える。ゲーム機器として興味深い構造を持ち、ユーザーが長期間楽しむための工夫が随所に散りばめられている。

 ゲーム機の外観やハードの完成度は確かに重要だが、成否は何と言ってもゲームソフトの品ぞろえにかかっている。今後どれだけの人気ソフトが登場するのか、注目される。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO14690810Q7A330C1000000/