分譲マンションの大規模修繕工事を巡り、
施工業者選びや仕上がりのチェックをするコンサルタントが、
受注業者にリベートを要求して住民に損害を与えるケースが相次いでいる。
複数の工事関係者によると、リベートは工事費の20%に上るケースもあるといい、
事態を重く見た国土交通省は、住民に注意喚起するよう管理会社や管理組合の団体などに通知した。


 リベートは工事費の高騰や手抜き工事につながるとして、専門家から問題視する声が上がっていた。
国交省は昨年、マンション管理指針を改正して「工事の発注は、
利益相反に注意して適正に行われる必要がある」と明記。
施工業者の団体などに聞き取り調査を行い、リベートが横行している実態を確認した。


 今年1月に出した通知では、
リベートを払う業者に受注させる一方で過剰な工事を設定して管理組合に損をさせたり、
実際には業務を受注業者任せにしたりする「悪質コンサルタント」の事例を列挙。
国が設けた相談窓口などを活用するよう呼びかけている。


 大規模修繕工事は、「設計・監理(チェック)」と
施工を別の業者に任せる方式が広く採用されている。
専門知識を持たないマンション管理組合を、管理会社や設計事務所が
コンサルタントとして支援するケースが多い。全てを施工業者に任せるより、
第三者の目で工事の額や質をチェックできるメリットがある。


 しかし、複数の工事関係者によると、
一部のコンサルは格安の費用を管理組合に示して設計・監理を受注。
施工業者を募る際、リベートを払うと約束した業者だけが
見積もりに参加できるよう条件を絞るという。
選ばれた業者が管理組合に示す見積額にはリベート分が上乗せされる。
談合によって事前に受注業者が決まっているケースも多い。


 リベートは工事費の3〜20%に上るといい、ある施工業者の元社員は
「受注していない管理会社が『場所代』として要求することもある」と話す。


 国交省の担当者は
「不公正な監理や談合はマンション住民の不利益につながる。
実情を把握し、対応策を考えたい」としている。


 ◇背任罪の可能性も

 マンション問題に詳しい折田泰宏弁護士の話 
リベートを受け取るコンサルタントは、質の悪い施工業者に受注させたり、
工事のチェックを手加減したりする恐れがある。
結果的にマンション所有者の負担が増すだけでなく、
横行すればまともなコンサルや施工業者が減ってしまう。
住民の立場で契約を結びながら故意に手抜きを見逃せば、
背任罪に問われる可能性もある。
国はコンサルや施工業者の団体への指導も検討すべきだ。

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