湘南アイパーク、企業数の集積に期待 入居3社が公開座談会

武田薬品工業の研究所を外部企業に開放した複合施設「湘南ヘルスイノベーションパーク」(神奈川県藤沢市、通称=湘南アイパーク)は22日、入居するベンチャー企業3社による公開の座談会を開いた。
3社の代表者からは「ヒト、モノ、情報が全てそろう」と歓迎する意見の一方で、イノベーションの創出には企業数の集積が必要であり、現状で入居企業数が少ないことを指摘する意見も出た。

アイパークに入居する企業は現在26社。4〜5年後には200社の入居を目指し、誘致活動を行っている。

アイパークは神奈川県の郊外で駅から遠く交通の便が悪いが、創薬研究コンサルティング会社FORESIGHT&LINXの能見貴人社長は「立地は重要な問題ではない。ここには優れたディスカッションができるサイエンティストがそろっている」と評価した。
がん創薬のベンチャー企業コーディア・セラピューティクスの三宅洋社長も「場所は不便だが、起業したてのベンチャーに必要なヒト、モノ、情報が全てそろっている」と述べた。

前臨床試験などを受託するアクセリード ドラッグディスカバリーパートナーズの池浦義典社長も「パークにいることで顧客が集まってくれる」と歓迎した。

一方で、能見氏は「入居する会社の数が重要でなく質が重要だが、量が質を変えることもある。創薬ベンチャーが多く集うことで物事が進むこともある」と述べ、一定の入居企業の確保が喫緊の課題だと指摘した。

また海外のオープンイノベーションのパークを多く知る湘南アイパークの藤本利夫ジェネラルマネジャーは、パークが盛んな海外ではサイエンティストが知財の関係で他社にどこまで話してよいかの経験値を持っているが、湘南アイパークは始まったばかりだと指摘。
サイエンティスト同士が突っ込んだ議論を交わせるよう、湘南アイパークが知財で最低限守るべき技術を入居企業に伝える活動も必要との認識を示した。

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