○役員が責任負うと約束したが…
審査担当役員らを呼び出した規制委の異例の対応には、理由がある。
原燃は2020年12月に事故対策工事の詳細な計画を申請後、審査会合で十分な
説明ができず、資料の作り直しが続いた。昨年12月には、役員が資料作成や
工程管理の責任を負うと約束。
審査会合で規制委側が「あなたたちが崩れたら、次は登場人物がいなくなる」と
自覚を求めたにもかかわらず、約束が守られなかったことを重大視した。
原燃の広報担当者は「役員は資料作成にめどがついたと認識していたが、
状況確認に問題があった。審査対象の設備数が約4万点と膨大で、
作業に苦労しているのは事実。担当者や役員間のコミュニケーションを改善
したい」と話す。
○能力不足を自ら露呈、改善の兆しなし
原燃はあの手この手で審査を進めようとするも、効果は一向に表れていない。
昨年12月以降、新型コロナ禍の中で部署が異なる審査担当の約400人を体育館に
集めて作業するようになった。役員も常駐するが、実際には資料の作成状況すら
把握できていなかった。
電力会社でつくる電気事業連合会は、審査を「オールジャパンで支援する」と宣言。
昨夏から、原発の審査経験がある電力会社などからの応援要員を約40人増やして
計60人を出向させるなどしたが、進展につながっていない。
原燃の役員は今月16日の規制委との面談で、審査資料の作成の遅れについて
「重要な作業との目的意識が欠けていて、単なる作業になっていた」と述べた。
審査申請から1年半、オールジャパン体制で臨む原燃は能力不足を自白するよう
な釈明を繰り返している。
(2022年5月22日(日):東京新聞)