■日本原燃、組織内の連携なく、大手電力各社の支援もむなしく…
            いつまでたっても完成しない再処理工場■

原発の使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す再処理工場(青森県
六ケ所村)の26回目の完成延期が確実となった。政府が原子力政策の要と
する核燃料サイクルの中核施設は、稼働に向けた原子力規制委員会の審査が
序盤でつまずいたままだ。大手電力各社が「オールジャパン」体制で支援に
乗り出すも、事業者の日本原燃の能力不足が改善する兆しはない。
(小野沢健太)
○原燃役員「審査資料出す」→担当者「完成してない」
「計画通りの竣工しゅんこう(完成)を目指す」。4月27日、原燃の増田尚宏
社長は青森市内での定例記者会見で強気な姿勢を見せた。
ところが、その6時間半後、原燃の役員6人が規制委事務局から呼び出しを受け、
急きょ開かれたテレビ会議で釈明に追われていた。
規制委によると、前日26日、審査担当の役員から「審査資料がまとまったので
提出したい」と申し出があった。規制庁側が原燃の実務担当者と資料受け取りの
日程を調整しようとしたところ、担当者から出てきた言葉は「まだ完成していない」。
この役員は作業状況を十分に確認せず、資料の実物も見ないまま、規制委に
連絡したという。
テレビ会議で、原燃は組織内の連携不足を認め、役員6人で資料のチェックを
徹底すると誓った。規制委の審査担当者は取材に、
「役員に責任感が感じられない」とため息をついた。