会社分割からわずか3カ月で破産した新電力「ホープエナジー」 2022/04/03
(株)ホープに注目が集まっている。
2021年12月の持株会社化に伴い会社分割した(株)ホープエナジーは、電力会社からの送配電取引契約を解除され、破産することを2022年3月22日に公表した。負債総額は概算で約300億円にのぼる。
ホープエナジーが担っていた電力小売はグループ売上高の93.1%(2021年6月期)を占める。

電力取引価格が高騰。自社で発電設備を持たない新電力は調達コストが急上昇した。
業界大手の(株)F−Powerが2021年3月に会社更生法を適用して注目を集めた。
ホープもまた65億円もの不足インバランス料金の負担を抱え、損失計上で債務超過に転落した。

懸案の不足インバランス料金は、分割弁済で2021年12月にようやく支払いを完了した。
ところが、これと前後して同年10月以降、JEPXでの調達価格が再び高値で張り付き、逆ざやによる赤字はさらに拡大することになる。
2022年6月期中間決算(連結)で80億円以上の債務超過に陥り、借入金返済の遅延を公表せざるを得ない状況に陥り、資金繰り悪化が露呈した。

こうしたなか2021年12月、持株会社体制へ移行し、新電力事業は分割会社のホープエナジーが承継した。
ただ、窮状を脱することはできず、資金不足から借入金の返済はおろか新たに発生した不足インバランスの支払いも厳しくなった。
万事休すとなったホープエナジーは、新電力事業の継続が事実上不可能となり、破産に追い込まれた。

また、ホープはホープエナジー向け債権600万円について、取立不能による損失見込みを公表した。ホープエナジーの債務については「保証等の債務負担行為を行っていない」と公表。自社に債務請求が及ばないことを示唆している。
ホープは3月24日、臨時株主総会を開催し、決算期の変更を可決した。ホープは、ウルトラCともいえる策で、お荷物事業と子会社の整理に打って出た。

だが、ホープエナジーの電力契約先は全国約5,000施設におよぶ。その大半は自治体や公共施設だ。税金で賄われているため、地域の財源や住民サービスにも関わってくる。
新電力という足かせは外れたが「身軽」になった代償として、ホープが失った信用はあまりに大きい。
https://maonline.jp/articles/tsr0380-hope