芥川龍之介の河童は
「しかし両親の都合ばかり考へてゐるのは可笑しいです
 からね。どうも余り手前勝手ですからね。」
と言う。問答を繰り返したあげく自死を選ぶ胎児の河童
の有様から、読んだ私には当然のごとく疑問が湧きます。
それでは目の前の河童たちはどのような経緯と理由が有
ってこの世に誕生して来たのだろうか。大変にうまく考
えられた物語からそのように作者に問いたくなります。
手前勝手に考えるに、周囲に騙された結果。果たしたい
欲望が強かった。滅っしたい対象があった。などなど。
あの河童の世界の有様が河童たちの心を推察すると納得
できてしまうところも大変に素晴らしいものです。
有名な文学というものはひと味違いますね。

蛇足かもですが誤解を避けようと一言を追加しました。