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朽ちず残る96年製ペットボトル 名古屋・藤前干潟の大量プラごみ問題

2018年12月13日 朝刊
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018121302000073.html

名古屋市港区の藤前干潟周辺に大量のペットボトルごみが漂着した問題で、四日市大の千葉賢教授(沿岸海洋環境学)らがごみを分析したところ、二十年以上前に製造されたペットボトルが含まれていた。
プラスチックごみの海洋汚染が世界的な課題となる中、いったん流出すると長年残留する実態が明らかになった。

 伊勢湾の海洋ごみを研究する千葉教授が十月、干潟周辺に山積した五百ミリリットルペットボトルから古そうな百本を収集。ペットボトルメーカーでつくる業界団体「PET(ペット)ボトル協議会」(東京)に分析を依頼した。

メーカー各社が形状から年代を調べた結果、三十八本は二〇〇〇年以前に製造されていた。このうち一九九六、九七年製造分が少なくとも四本あった。
五百ミリリットルペットボトルは九六年に国内製造が始まったことから、初期に捨てられたごみが二十年以上も朽ちずに残留していたことになる。

千葉教授は「ペットボトルはプラごみの中でも丈夫で砕けにくいが、これほど長年残ってしまうとは驚きだ。不法投棄を防ぐ取り組みが重要になる」と話す。

これとは別に無作為に拾った八十本を五年ごとの製造年代別に分類すると、二〇〇六〜一〇年製造分が42%と最多を占め、その後は年々減っていた。
国内販売分のうち、自治体や業者などが回収した比率は〇六年度は66%だったが、一七年度は92%。調査で分かった傾向は、消費者の意識の変化を反映しているといえそうだ。

大量のペットボトルは九月の台風21、24号の後に見つかった。
庄内川や新川から長年にわたり河口の干潟周辺に流れ込み、ヨシ原の隙間にたまっていたが、台風の高潮で浮き上がり、岸に流れ着いたとみられる。

藤前干潟はラムサール条約に登録され、多くの渡り鳥が訪れる。
今回の問題を受けて庄内川を管理する国土交通省や市民有志が十月以降、約十八万本を回収した。
撤去は完了しておらず、十五日に市民有志が再び清掃する。(河北彬光)