●揚水発電所が太陽光発電導入の支えに ただしコスト高、利用には工夫が必要
「自然エネルギーの導入を考える上でも重要だ」

「変動する電気なので導入が難しい」と言われる自然(再生可能)エネルギー。
その導入の切り札として、「揚水発電所」が注目されている。

これまでとは逆の「昼間に水をくみ上げ、夜間に発電する」ことが注目されている。
これは太陽光発電など自然エネルギーの導入促進に役立つ。
例えば、東京電力管内には1100万kwの揚水発電所がある。
これを電力需給の調整に使えば、使わない場合の2倍ほどの自然エネが導入可能だという。

ISEPの山下紀明主任研究員は「本来なら、まず連系線を使って電気を広域に送り、その次に揚水発電所を使うなど、
全体として低コストになるように工夫した運用が必要ではないか。
その上でかかるコストは需給調整に必要なコストとして、電力会社(送電会社)がきちんと回収できるようにすればいい」と話す。

最近は、太陽光発電などが急増し、「もうこれ以上の自然エネルギーはいらない」という締め出しが全国で起きている。
だが、揚水発電所の利用や、連系線での全国融通などを併用すれば、まだまだ導入の可能性があるだろう。

水発電は大容量の電力を蓄え、電力系統の需要の平準化、安定化に役立つ。
蓄電池よりも規模が大きく、すでに存在する施設なので、もっと工夫して使えば大きな働きをするのは間違いない。

自然エネの導入、揚水発電に詳しい長山浩章・京都大学教授(エネルギー科学)はこう話す。

「揚水発電所は自然エネルギーの導入を考える上でも重要だ。
揚水発電の価値を正しく認識し、有効利用の制度的枠組みをつくり、政策的な支援を考えるべきだ。
定速揚水から可変速揚水への切り替えも検討したい。
現状の制度下では、経済性確保が難しい設備は何もしないでいるとなくなっていくが、
今後自然エネルギーがさらに増え、調整力がより必要になることは確実なため、なんとか対策を考えるべきだ」

https://www.huffingtonpost.jp/shinrinbunka/power-20180426_a_23415009/