◆“開かずの点検口”も発覚 原燃「重大エラー」でも規制委が見守る理由◆

○青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場など核燃料サイクルの
 中核施設を抱える日本原燃が、長年の点検怠慢など複数の保安規定違反を
 指摘され、窮地に立たされている。
 ウラン濃縮工場では平成4年の操業開始から排気ダクトの点検が行われて
 いなかったことが判明。大量の点検漏れでは廃炉が決まった
 高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)が記憶に新しいが、
 原子力規制委員会は今回、原燃の総点検の取り組みを見守る姿勢を示している。
 (社会部編集委員 鵜野光博)

○点検してないのに「異常なし」
 保安規定違反が発覚したきっかけは今年8月、再処理工場の非常用電源建屋に
 雨水約800リットルが流入したことだった。
 原因は壁の配管貫通部に施された止水加工の劣化。
 同じトラブルが北陸電力志賀原発(石川県)でも起きており、規制委は
 他の原発でも点検を指示したが、原燃は昨年12月、「問題なし」と報告していた。
 ところが規制委が調べたところ、流入部が確認できる点検口は平成15年の設置以来、
 14年間一度も開けられていなかったことが判明。にもかかわらず、
 巡視・点検日誌には「異常なし」と記入されていた。
 志賀原発のトラブルを受けた点検指示に対しては、現場を確認せずに報告していたという。
 ウラン濃縮工場(青森県)でも排気ダクトが腐食しているのが確認された。
 平成4年の操業開始以来、一度も点検が行われていなかったことに加えて、
 接続先につながれないままで放置されていたダクトもあった。