http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030402000121.html

 九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の周辺で巨大噴火を疑う異常が起きた際に、
運転停止命令を出すかどうかを議論する原子力規制委員会の
評価部会委員に決まった鹿児島大の火山学者ら二人が、
過去に九州電力と関西電力の子会社から計八百十万円の「奨学寄付金」を受けていたことが分かった。
 鹿児島大が二〇一〇年度以降の情報開示に応じた。二人は小林哲夫名誉教授(火山地質学)と宮町宏樹教授(地震学)で、
子会社二社とともに寄付の事実を認めた。規制委事務局は寄付を把握しているが情報公開していない。

 規制委は「空振りを恐れずに」安全優先で停止命令を出すとしてきた。法令上の問題はないものの、
電力側と資金関係がある委員を選んだことで、判断の公正さに疑問を持たれそうだ。
 昨年八月に再稼働した川内原発の近くには、桜島を含む姶良(あいら)カルデラなど過去に巨大噴火した火山が集中。
規制委は九電に火山の監視報告を求める一方、監視データの評価部会を原子炉安全専門審査会に設置することを決めた。
 委員は鹿児島大の二人と、北海道大と京都大の各一人、議決権を持たない国立機関の研究者二人で計六人。
北海道大と京都大の教授は、いずれも電力側の寄付金を受けていなかった。
 規制委事務局は取材に「寄付金については聞いているが支障はない」と説明。小林氏は「電力との関係は意識しなかった。
(委員としての)判断には影響しない」、宮町氏は「電力に不利なことであっても発言するつもりだ」と話した。
 開示資料によると、小林氏は一〇〜一四年度、関電系の建設コンサルタント会社「ニュージェック」(大阪市)から計三百十万円の寄付を受けた。
宮町氏は一三〜一五年度、九電系の建設コンサルタント会社「西日本技術開発」(福岡市)から計五百万円を寄付された。
 奨学寄付金は外部資金を受け入れる大学の制度。特定研究者に寄付できて使途に制限はなく、積み立ても可能という。
 規制委は委員の申告に基づき、電力側の寄付金の有無を公開しているが、六人は任命手続きが終わっておらず公開されていない。