まず原発の発電能力の過大評価がある。
原発1基100万kWが1年間の稼働率(設備利用率)は震災前で約65%ほどで、年間の発電量は57億kW*1となり、
太陽光発電の発電量194億kWh*2なので代替する電力量は原発3.5基分*3となる*4

次に話の重点である、賦課金についても誤りがある。このままでは20年で2013年5月現在の設備認定容量1937万kWだと、
その買取総額は20年間で16兆2156億円となる。それは間違いではない。しかし、実際に課せられる賦課金は買取総額から
回避可能費用*5を引いたものになるので、その額がそのまま請求されるわけではない。
その回避可能費用は計算すると3兆8740億円となるので*6、実際に電力消費者に回される請求書の金額は20年間で12兆3389億円となる。

もちろん20年間だと12兆3389億円というのは、たしかに十分大きい金額だ。それが1世帯あたりの電気料金となると一体いくらかかるかを試算してみた。
まず年間の賦課金は6169億円となる。これを国内の総消費電力量9000億kWhで割ることにより、1kWhあたりの金額を計算すると0.685円/kWhとなる。
標準世帯だと一般的に月々約300kWhの消費という話なのでこれをかけると300kWh*0.685円/kWh=約200円となる。
つまり、1世帯あたり月々たった200円、缶ジュース2本にもならない金額で原発3基分の再生可能エネルギーでできた電力を得ることができたということになる。

今後買取価格が下がっていくことも考えるとそれで経済が立ち行かなくなるほどの電力料金が高騰することも、ドイツ並み*7になることも、考えにくいだろう。

*1:100万kW*24時間*365日*0.65=56.9億kWh
*2:1937万kW*1000kWh/kW=193.7奥kWh
*3:194億kWh/57億kWh=3.4
*4:さらに言えば記事で使っている太陽光発電の設備容量2150万kWを計算に使用するならば、その場合の電力量は3.77≒約原発4基分と言える。
*5:ようは太陽光発電が供給した結果、その分不要になった燃料費のこと
*6:回避可能原価を10円として、1937万kW*1000kWh/kW*20年*10円/kWh=3兆8740億円 となる。
*7:2013年時点で月1世帯あたり1500円ほど、10年前からFITを導入している分かかる費用がでかくなってしまっている