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東大、可視光吸収力9倍の増感剤を開発−水から水素1500倍発生

東京大学大学院総合文化研究科の村田滋教授、滝沢進也助教らは、太陽光で水を分解し水素を得る「人工光合成」技術で、
可視光を吸収しやすい新たな増感剤を開発した。イリジウム系の錯体化合物で、従来の錯体と比べ可視光を吸収できる能力は9倍。
水を分解する触媒と組み合わせたところ、従来比約1500倍の水素が発生した。
 開発したのはイリジウム原子を中心とした分子構造を持つ錯体で、「クマリン6」と「ジイミン」という有機化合物をイリジウムに
結合させたもの。実験用によく使われるルテニウム系の錯体と比べ、可視光の吸収能は9倍。また、増感剤を繰り返し
何度使えるかを示す「触媒回転数」は従来比1500倍。市販の試薬から容易に合成できるという。
 植物の光合成で重要な役割を果たすクロロフィルのように、光を吸収すると活性化し、
電子を受け渡しする増感剤として作用する。