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■『しかし、その2年後の2008年、アスベストによる新たな被害が明らかになった』。
 阪神淡路大震災、この大地震でアスベストを含むビルが大量に崩れた。その復旧作業に当たっていた作業員が、アスベストの被害にあっていた。
 兵庫県宝塚市に住む60代の女性、2011年、夫をアスベストが原因の肺がんで亡くした。わずか2ヵ月間、ガレキの撤去を手伝い発症した。
◆妻「何かの間違いじゃないかと。(夫は)ずっと着物の営業ばかりしてきたので…」
■吸い込んでから20年、30年経って発症するじん肺。『復興で街が生まれ変わった今になって、当時のアスベスト被害が表面化してきている』。
 兵庫県西宮市で建築会社の営業マンだった男性(81)。『震災後、2ヵ月間、マンションの解体工事の現場監督をした』。健康診断で「肺に影がある」と言われ、アスベストが原因の肺がんとわかる。「余命2年」と宣告された。
 当時、社長も現場に出て作業に当たった。「ビルを解体したガレキを、浜に山積みした。無法地帯だよ」。
 被災直後、ガレキの撤去を手伝ったボランティアや住民に、アスベストに対する意識はほとんどなかった。『その時の被害が、今後さらに明らかになっていく』。
 『ガレキが無くなっても、そこから30年間は中皮腫が起こりうる期間だから、これからも増えていく』。
■阪神淡路大震災から16年、東日本大震災。『阪神の2倍、170万もの建物が破壊された。悲劇は、また起きようとしていた――』。