「東電が作業員に支払う日当は数十万円などといわれていますが、何重ものピンハネによって、
実際に作業員が手にするのは1万円程度。この先、何十年も事故処理が続くかもしれないのに、
こんな仕打ちで誰が命を張れますか。年収1000万円を超える東電の社員や、約5億円の
退職金を受け取ったとされる清水正孝前社長以下、歴代役員は何も感じていないのでしょう」
(同原発の取材を続けるライター)

東電の無神経は、作業員に対してだけではない。同社は衆院科学技術・イノベーション推進特別
委員会の求めに応じて、過酷事故に対処する手順書の一部を12日に開示したが、機密などを
理由に、開示したのは黒塗りの表紙と目次だけ。

その一方で、事故直後からの東電の対応を改めて検証した、11日放送のTBSのドキュメンタリー
番組に対し、「推定や憶測などによって人災と結論づけた報道がこのたびなされたことは甚だ遺憾」
との抗議の声明を発表している。

また、14日付の朝日新聞によると、東電は来年度から15%程度の電気料金値上げを検討。
期間は3年間を想定し、終了と同時に社員の賞与半減措置も終了させるという。

半減といっても、現状で公務員平均(行政職平均35・6歳、56万4800円)を上回る社員は
多い。「東京電力に関する経営・組織財務調査委員会」も、高すぎる人件費や経費をすべて電気代に
転嫁できる「総括原価方式」をタテに、設備投資を過剰に見積もる姿勢を問題視している。

身内に甘く、作業員、利用者、被災者に厳しい東電の体質が徐々にあらわになってきた。