ドイツの屋根置き型の小型PVは固定価格による全量買取りが基本ですが、2009年の改正から、「自家消費ボーナス」というものを採用するようになり、
近年では、屋根設置の大型に至るまでになったり、そして自家消費の割合を多少の義務化を図るようになったり、自家消費をドンドンと促すように制度を改善させています。

イ)全量買取制度で発電した電力をそのまま系統に売電すると、発電者は、Xセント/kWhの売電収入を得ることになりますが、

ロ)自家消費した分は、自家消費によって買わなくて済んだ、つまり浮いた分の電力購入の料金分のYセント/kWhに加えて、電力系統事業者からZセント/kWhのボーナスが支払われるという仕組みです。

また、FIT制度では、Xの値と、Yの値をモニタリングしながら、「X<(Y+Z)」となるように、ボーナスの値を決めていますので、一般的なPV設置者は、こぞって、できるかぎり多くのY+Zを得るために、
日中のPV発電時に電力消費行動のメインを移すような行動をすることになります。とりわけ今年の4月からのようにXがYよりも小さくなってしまうグリッドパリティが到来してくると、この動きは本格化します。

また、新しいモニタリング・通信機能付きのインバーターやPVシステムでは、天気予想とリンクさせた形で常に更新する「週間発電予報」などを表示版やWEBに流すようになっていますので、
例えば、「電動芝刈機を使った芝刈りは、今日は止めておいて、発電が期待される明後日にしよう」だとか、「溜まった洗濯物は、今日でなく、明日にしましょう」だとか言った行動が可能になり、
PV発電量が多くなるときに、電力を多く使い、PV発電量が少ない時には、電力消費をできるだけ避けるような市場原理が、FITの中には組み込まれています。

つまり、日中の正午前後には、電力系統の25%を占有するようになったPV電力が、すべて系統に流れ込むのではなく、
できるだけその瞬間に電力を使えるように、配慮した「電力系統の安定化」に寄与する制度とシステムがドイツでは実施されているわけです。

ドイツの専門家たちは数多くのシミュレーションをして、学術的な結論「いわゆるスマグリの役立たず論」を出しています。
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51707587.html