放射性物質を含む焼却灰の処理技術も進む。産総研などは青色顔料の一種、プルシアンブルーの直径10ナノ
(ナノは10億分の1)メートル以下の微細粒子を使った吸着材を開発。樹木など植物の焼却灰に水を通し、
溶け出したセシウムを99%以上除去できるのを確認した。ゼオライトの約67〜1400倍の吸着性能を示した。
 都市ごみ焼却灰を水で洗浄し、セシウムが溶出した汚染水に新吸着材を加えて混ぜる実験では検出限界の
1キログラム当たり10ベクレル以下に減らせた。下水汚泥の焼却灰を除染する容量20リットルのミニプラントも製作した。
今月中に性能を確認する予定だ。
 高度情報科学技術研究機構はスーパーコンピューター「地球シミュレータ」を使い、先端材料が放射性セシウム
を効率よく吸着することを見つけた。直径0.6ナノメートルの筒状炭素分子カーボンナノチューブの表面に、
セシウム原子が3個ずつ集まって吸着するという。吸着後に約700度で焼却すると、二酸化炭素と酸化セシウム
の灰が発生。灰だけを回収する。