Ecolinc 21 NPO法人 環境国際総合機構
環境・資源科学研究所 第2委員会 委員
研究構想
http://www.ecolink21.net/environment/p3_1.html

[1] 微生物による金属イオンの生体濃縮
   バイオポリフェノールを利用する有用金属の回収

私は、米国、カナダ、オーストラリアを中心に、世界各国のウラン鉱床に生棲している高性能ウラン濃縮菌の探査を
行ってきたが、北米のウラン鉱床で発見したArthrobacter属やBacillus属の細菌は優れたウラン濃縮能を持っており、
市販のキレート樹脂の2倍以上のウラン濃縮能を示すことを見出した。

[2] 生体の優れた酸化還元能を利用する有害金属の除去、有用金属の回収

私は、微生物の生体反応を利用する金属の回収について、種々の角度から研究を行ってきたが、
その一連の研究過程で、細菌、微細藻類などの微生物が、特定の金属に対して強い酸化還元能を示すことを
見出した。これらの微生物は、例えば、5価モリブデンを3価モリブデンに、6価ウランを4価に、6価セレンを0価
(金属状セレン)に、6価クロムを3価又は0価に、還元する能力を持っている。また一方、特定の微生物は、
3価ヒ素を5価ヒ素に、2価鉄を3価鉄に、また、難溶性金鉱中のイオウを酸化除去する優れた能力を持っている
この酸化反応は、硫化金鉱石から金を抽出する操作に利用できる)。ウランは、通常、廃水などの水溶液では
6価イオンとして溶存しているが、この6価イオンは,生体の還元反応を利用することにより、水に不溶性の4価ウラン
に還元されて沈殿する。この沈殿を、ろ過法などで除去し、ウランを回収除去することができる。  


[3] 特異タンパク質を利用する同位体識別バイオセンサーの開発及びリチウム6
   の量産化

その手始めとして、微生物がリチウム同位体(Li-6とLi-7)を識別分離できるか、その可能性について調べてみた。
その結果、Nocardia属、Bacillus属などの細菌は、Li-6とLi-7を識別する能力を持っていることが明らかになった。
これらの微生物によるLi-6, Li-7の分離係数(菌体中[Li-6] / [Li-7]/ 施用溶液中の[Li-6] / [Li-7])は、
従来法の物理学的方法、化学的方法での値よりも50倍程高く、微生物は、極めて効率的にLi-6とLi-7の
同位体を分離できることがわかった。