原発は憲法違反である  大河原礼三

▲憲法前文は「恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」を宣言し
ているが、原発は放射能被害の恐怖と不安と人命破壊を引き起こして平和
的生存権を侵害する。

▲ 憲法は13条で「生命、自由および幸福追求に対する国民の権利」を保障
し、22条で「居住の自由」を保障し、25条で「健康な生活を営む権利」を保
障し「公衆衛生の向上と増進」を目指しているが、原発は放射能汚染によっ
て健康を破壊し、飲食物の摂取を危険にし、それらの生産者の生活を脅か
し、地域住民を転居させるなど、生命権と健康権と幸福追求権と生活権と居
住権を甚だしく侵害する。

▲憲法18条は「何人も、その意に反する苦役に服させられない」と規定して
いるが、原発作業員は、日常的に放射能の危険に曝され、事故のときには、
その犠牲者にさせられるのであるから、彼らの労働は憲法が禁止している
「意に反する苦役」である。

▲憲法21条は「表現の自由」を保障し、23条は「学問の自由」を保障して
いるが、国の原発政策は、原発に批判的な意見の表明を抑圧し、批判的な
研究を抑圧してこれらの自由権を侵害し、国民の「知る権利」を侵害する。

▲憲法98条は「日本国が締結した条約および確立された国際法規は、これ
を誠実に遵守することを必要とする」と規定しているが、福島原発が放射性
廃棄物を海洋投棄したことは、海洋投棄に関する国際条約に違反している。

■電力会社は大地震の際に原発事故を防ぐ能力がないことを露呈し、原発は
憲法違反を不可避的に引き起こす制御不可能な危険物・暴力源であるこ
とが明らかになったのであるから、原発は当然法律で禁止されるべきである。