コロナ拡大は「もはや災害時に近い」と国の専門家 沖縄の緊急事態宣言「解除は難しい」
2021年8月12日 07:23
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/802781

 厚生労働省に新型コロナウイルス感染症対策を助言する専門家組織は11日、会合を開き、
医療提供体制が首都圏を中心に非常に厳しく「もはや災害時の状況に近い局面を迎えている」
との分析をまとめた。11日は全国で新規感染者が1万5812人となり、過去最多を
更新するなど、ほぼ全ての地域で急速に増加。東京の4回目の緊急事態宣言発令から
12日で1カ月となるが、状況が好転する見通しは立っていない。

 専門家組織の脇田隆字座長(国立感染症研究所長)は非公開の会合後の会見で、
緊急事態宣言下の沖縄の感染状況について「現在直ちに緊急事態を解除することは難しい」
との見解を示した。一方、夜間の滞留人口(主要な繁華街にいた人の数)が
減少傾向にあるなどとし「今後の状況を見ていく必要がある」と述べた。

 脇田座長は、専門家組織の資料で、7月下旬の那覇市の県外からの人流が、
今年5月の大型連休より少ないとし「県外からの流入によるインパクトは
大型連休時ほど大きくはない」と説明。感染状況の推移を注視する考えを示した。

 複数の県立病院が予定された入院や一般外来の中止に追い込まれるなど、
一般診療への影響が出ている現状には「できる限り感染者数を減らしていくことが
一刻も早く求められ、多くの人と(危機感を)共有する必要がある」と話した。

 10代以下の感染者が急増している点にも触れ「家庭内での感染が多いとの説明があった」とした。

 専門家組織によると、直近1週間(4〜10日)の人口10万人当たりの新規感染者数は
沖縄が247・83人で全国最多。東京の200・06人を大幅に上回った。

 田村憲久厚労相は冒頭「新規感染者の数が常態的に1万人を超え、
全国的に感染が拡大している状況だ。中でも東京は厳しい状況が続いており、
東京の状況に近づいている自治体が続々と増えている」と述べ、危機感を示した。

 脇田座長は、東京パラリンピックの観客について、無観客開催が望ましいとの個人的見解を示した。