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 黒人の血を引く他の若いランキング上位のプレーヤー(マディソン・キーズ選手、
スローン・スティーブンス選手、コリ・ガウフ選手など)と同じく
大坂選手も、メディアに「次のセリーナ・ウィリアムズ」と呼ばれてきた。
他の非黒人系の選手がこのような比較をされることはほとんどない。
そのパワフルなベースラインを主体としたゲーム運びは似ているものの、
大坂選手はクレーでも芝でもまだウィリアムズ選手ほどの多彩な能力は身につけていない
(キング氏は大坂選手がウィンブルドンで優勝するには、バックハンドスライスを鍛える
必要があると指摘している)。

 徐々に変わりつつあるものの、大坂選手が指摘する通り、
テニスは白人選手が圧倒的多数を占めるスポーツであることはよく知られている。
1980年代でさえ、世界ランク4位に上り詰め、五輪でメダルを獲得した黒人の
ジーナ・ガリソン選手は、主要ブランドからスポンサー契約を獲得できなかった
(1990年の全英オープンでは、ガリソン選手が決勝前夜にリーボックと契約を交わすまで、
マルチナ・ナブラチロワ選手が自身のスポンサーのナイキから提供されていた試合用の
ウエアを貸していた)。大坂選手のスポンサー企業は日産自動車や化粧品会社
ベアミネラル、シチズン時計など数え切れないほどだ。また、スポーツ飲料メーカーの
ボディアーマーやフィットネスツールのハイパーアイスの株主にもなっている。

 現在、ランキング100位以内の選手に占める黒人選手の割合は10%に満たず、
そのほぼ全員が米国人だ。現在ランキング1位のアシュリー・バーティ選手は、父親が
オーストラリア先住民アボリジニの血を引いており、そのルーツに共感を抱いている
(バーティ選手のスポンサーにはスポーツ用品大手フィラ、高級車メーカーのジャガー、
豪発酵食品メーカーのベジマイトなどが名を連ねている)。

 「テニスの門戸は開放された。なおみのような人たちがそれを享受している」と
ウィリアムズ選手は述べ、「自分とは見かけが違う人を見慣れてしまっているため、
自分と似た見た目の人に会うと応援したくなる」と話した。