新型コロナの治療薬 デキサメサゾン、レムデシビルなど 現時点でのエビデンス
忽那賢志 | 感染症専門医
7/12(日) 12:09
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200712-00187762/

感染者のうち2割の方は肺炎が増悪し、炎症反応が過剰に起こることによって重症化していきます。
この時期は過剰に起こった炎症を抑えるためにステロイドやIL-6阻害薬などの抗炎症作用を持つ薬剤を使用するのが合理的と考えられます。
つまり、現時点では新型コロナウイルス感染症の重症例に対する治療薬は「抗ウイルス薬」と「抗炎症薬」を組み合わせて行うという考え方になってきています。
また、これに加えて凝固異常に対して抗凝固薬を使用することも一般的になってきています。

デキサメタゾンはステロイドの一種です。

重症新型コロナ患者は、強い炎症反応によって肺障害や多臓器不全、凝固異常などを起こします。
ステロイドは抗炎症作用によって、これらの有害な炎症反応を抑制する可能性が示唆されています。
またこれまでもデキサメタゾン以外のステロイドが国内の多くの医療機関で使用されていました。

英国で行われた入院患者を対象とした大規模多施設無作為化オープンラベル試験(プレプリント)では、
デキサメタゾンの投与を受けた患者は、標準治療を受けた患者と比較して死亡率が減少したことが示されています。
まだ査読を受けた論文としては公表されていませんが、死亡率を改善させた治療薬としては初めてのものになります。

デキサメタゾンも酸素吸入が必要ないくらい軽症の新型コロナ患者には有効性は示されておらず、
酸素吸入が必要な中等症患者、人工呼吸管理が必要な重症患者での有効性が示されています。
デキサメタゾンは元々重症感染症に適応のある薬剤であり新型コロナウイルス感染症にも使用可能です。