ロヒンギャ難民の携帯利用禁止 バングラ政府
By Jon Emont
2019 年 9 月 5 日 07:10 JST

 バングラデシュは、イスラム系少数民族ロヒンギャ難民が携帯電話サービスを
利用できないようにする。ネット接続の主要手段を奪うことにもなり、本国ミャンマー
からのニュースや親族との連絡を携帯電話に頼るロヒンギャにとって大きな痛手となる。

 ロヒンギャ難民はバングラデシュ内での移動や雇用機会を著しく制限されており、
携帯電話の利用ができなくなれば孤立状態がさらに深まる。バングラデシュには2年前、
ミャンマー軍の弾圧を逃れようとするロヒンギャ難民70万人超が流入した。

 バングラ政府は1日、携帯電話会社に対して、
ロヒンギャ難民への携帯SIMカードの販売を停止するよう指示した。

 ムスタファ・ジャバル通信相はインタビューで、ロヒンギャ難民の身元確認資料が
不足していることが要因と説明した。同国の法律では、身元確認資料がそろっていないと
SIMカードの登録ができない決まりだという。

 また、ロヒンギャ難民が現在使用しているSIMカードも使えないようにする方針だと述べた。
ロヒンギャの犯罪組織が携帯電話を使って連携するのを阻止する狙いがあるとした。

 外国政府はこれまで、先進国の多くが移民受け入れを制限する中で、イスラム教徒
中心のバングラデシュが大量のロヒンギャ難民を受け入れたことを高く評価していた。
バングラデシュ政府はロヒンギャに対し、自発的にミャンマーに帰還するよう求めて
いるが、ロヒンギャはミャンマー政府による帰還受け入れの申し出を拒否している。
ミャンマー政府は8月下旬にも少数の帰還受け入れを申し出たが、
ロヒンギャの間ではミャンマー軍に再び攻撃されるとの懸念がなお根強い。

https://jp.wsj.com/articles/SB10814821955818634058604585530881090987688