北朝鮮の日本人妻を襲った悲劇の連続 報道写真家が見た 編集委員・塩倉裕 2019年9月5日07時30分

 北朝鮮に住む「日本人妻」たちの存在に、フォトジャーナリストの林典子さんが光を当てた。
2013年から11回にわたって訪朝取材してきた成果だ。
いまや祖国・日本の同胞からも忘れ去られがちなその存在。
見えてきたのは、対立する北朝鮮と日本の間で親と子が引き裂かれ続ける状況だった。

 林さんは今夏、フォト・ドキュメンタリーの著書『朝鮮に渡った「日本人妻」』(岩波新書)を発表した。1959〜84年に在日朝鮮人ら9万人余りが日本から北朝鮮に渡った「帰還事業」。
その際、夫とともに朝鮮半島に移った日本人配偶者が「日本人妻」と呼ばれた。
1800人に上ると推計されている。

 祖国の親族と連絡が取れなくなった人も多く、ほとんどの人は一度も里帰りができていない。
高齢化も進み、故郷の親に会えないまま亡くなる人が相次ぐ状況だ。

 中央アジア・キルギスで行われる「誘拐結婚」、過激派組織「イスラム国」に襲撃されたヤズディ教徒……。
現地に深く入り込む手法で、林さんは国際的に評価されてきた。(以降登録記事)

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