【寄稿】日韓間の真の問題は信頼−河野太郎外相 寄稿者:河野太郎 2019年9月4日 8:33 JST
問題は2国間の約束が守られるか否かであると述べる
河野外相がブルームバーグ・ニュースに寄稿した

日韓関係は現在、第2次世界大戦中の旧朝鮮半島出身労働者に関する問題により、
厳しい状況にある。この問題の核心は、1965年に国交を正常化させることを決定した際に
二つの主権国家の間で交わされた約束が守られるか否かということである。

  一部の人たちは、最近の日本の韓国に対する
輸出管理の運用の見直しをこの旧朝鮮半島出身労働者問題と関連付けている。
私は、これらの問題が完全に別個のものであると明言したい。

  1965年に日本と韓国は、14年にわたる困難な交渉をまとめ、日韓請求権協定を締結した。
同協定の規定に基づき、日本は韓国に対し、無償および有償を合わせ
計5億ドルの経済協力(当時の韓国の国家予算の1.6倍)を行い、両国およびその国民の間の
財産・請求権に関する全ての問題が「完全かつ最終的に解決」されたことを確認した。
  交渉の際に提示された八項目の「韓国側の対日請求要綱」には、
「被徴用韓人未収金」や「戦争による被徴用者の被害に対する補償」も含まれていた。
日韓請求権協定の合意議事録では、「完全かつ最終的に解決」された財産・請求権のうちに
これら八項目に属する請求が全て含まれていることが明記されている。
  さらに、戦争中に日本企業によって「徴用」された韓国人労働者への補償を要求する中で、
韓国政府関係者は、この要求には労働者の精神的、肉体的苦痛に対する補償も含まれているとの
説明を行った。それに対し日本側からは、個人に対する支払いを提案したが、韓国側は、
国として請求した上で、日本から受領(じゅりょう)した資金の分配は韓国政府の責任で行うと明言した。

  40年後、2005年8月に、韓国政府は、日本から無償資金協力として受け取った3億ドルには、
「強制動員」に関する「苦痛を受けた歴史的被害」の補償も含まれていることを再確認している。
それによって、韓国政府は、受領した無償資金のうちの適切な金額を
そのような被害者の救済に使わなければならない道義的責任を有することを明確にした。(続く)