【寄稿】トランプ氏を見る目、習氏が変えた
米大統領は「中華秩序」から米国だけでなく国際システムも守ろうとしている
By Gordon G. Chang
2019 年 7 月 26 日 16:20 JST 更新

――筆者のゴードン・チャン氏は
「やがて中国の崩壊が始まる(The Coming Collapse of China)」の著者

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 私は当初、ドナルド・トランプ米大統領が「国家主権(ソブリンティー)」という
ものについて頻繁に語る理由が分からなかった。その後、私の見方は変わった。
正確に言えば、中国の習近平国家主席が私の考えを変えた。
トランプ氏は、中国が支配する世界とわれわれの間に立ちはだかる唯一の存在だ。

 トランプ氏は2017年9月の国連総会で「さまざまな国々が同じ文化、伝統、さらには
政治システムを共有することを期待してはいない」とした上で、「しかしわれわれは、
全ての国が以下のような、主権国家としての2つの義務を支持することを強く期待する。
それは、自国民の利益を尊重し、他のすべての主権国家の権利を尊重することだ」
と語った。

 トランプ氏はこの演説の中で、21回も「ソブリンティー」という言葉を使った。
それはなぜだろう。米国が世界の200近い主権国家の1つであることは、
誰もが知っている。主権国家の概念は、300年以上にわたり、しっかり確立されてきた。
トランプ氏がソブリンティーの重要性を訴える必要はないように思われた。

 しかし、習近平氏は過去10年以上にわたり、中国が世界で唯一の主権国家であるとの
考えを大胆にもほのめかしてきた。その結果、私はトランプ氏のソブリンティー擁護の
姿勢は、世界の平和と安定を維持する上で欠かせないものだと考えるようになった。