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 フランス内陸部で高まる景気に対する深い不満が、デモの原動力となっている。
モンリュソンはフランスのまさに中央部に位置するが、
大都市間を結ぶ高速鉄道が通っていない田舎町だ。

 プマイヨさんは最近、額縁販売の店を構えたが、所得税やその他の経費を差し引くと、
自分に支払える給料は残らないという。今は支給される月額500ユーロ(約6万4000円)の
社会保障手当てに生活を頼る状態だ。だがこの手当ても来月には支給が止まる。
そうなれば、家財を売って生計を立てるしかないという。

 「黄色いベスト」デモ参加者の多くは、
オランド前政権で経済相を務めていた時代からマクロン氏の存在に気付いていた。
マクロン氏は当時、ビジネスに対する規制緩和法案を推進。
投資銀行出身、そして自由市場支持派というマクロン氏の肩書が、
デモ参加者になったと思われる人々の間に不信感を広げている。

 マクロン氏は大統領選の決選投票で66%を得票し、
極右政党の党首だったマリーヌ・ルペン氏を破って当選した。
だが第1回投票のマクロン氏得票率は、ルペン氏の21%に対し、24%どまり。
決選投票では、登録有権者の3分の1が投票しなかったか、白紙投票を行った。

 プマイヨさんは「超リベラルか超国家主義のいずれかしかなく、どちらの選択肢も
良くない」とし、「生まれて初めて決選投票に足を運ばなかった」と語った。