>>311続き
どうも乗数効果の理論について十分にご理解がなされていないようなので改めて解説させていただきますが
例えば公共事業の場合、政府がある事業に対して代金として1億円を支出をすれば、その時点でGDPは1億円拡大します
そして代金を受け取った企業やその従業員は受け取った所得の一部を貯蓄し、残りを消費するわけです。
企業なら設備投資をしたりします。従業員は生活費や趣味に賃金を使います。
所得のうち30%を貯蓄して、残りの70%を消費に使うなら消費性向は0.7になり、ここでGDPが7000万円拡大します
だからGDPは合計で1億7000万円拡大したことになります。
そして7000万円分の消費は政府から代金を受け取った企業やその従業員に製品やサービスを提供した企業やその従業員の所得になります
彼らの消費性向が同じく0.7であるなら、彼らがさらに消費をすることで4900万円の消費が生まれGDPが成長します
GDPは合計で2億1900万円成長したことになります。
そして彼らに製品やサービスを提供した企業やその従業員が…と、このサイクルを延々と繰り返すことにより政府支出以上の経済効果が生じるというのが乗数効果理論です

で、乗数効果を試算する上で用いる数値は最初の投入金額と消費性向です。
そして、上の流れを呼んでくれれば分かると思いますが、政府支出を受け取った人間がそれを消費に使った段階で政策と直接関係ある企業、個人から離れてしまっているんです
つまり、ここでいう消費性向とは経済政策に直接関わる人々ではなく世間全般の消費性向であり、個々の政策によって変わるものではないのです
あなたは自分の給与が出所が公共事業関係者が支払った代金か、公務員が支払った代金か、年金受給者の支払った代金かを考慮して使途を考えますか?考えませんよね
ですから経済効果を考えるうえで、個々の政策の内容というのはあまり関係ない。重要なのは最初の投入金額と世間の消費性向なのです。