韓国人にとって安倍首相は、歴史に対する反省が足りないというマイナスイメージが強いが、経済再生のリーダーシップでは我々が学ぶべき点が多い。
安倍首相は「近隣国搾取」という非難を甘受して、円安を推し進め、規制緩和に抵抗する利益団体の反発を正面突破した。

アベノミクスの成功は意思疎通と説得で国民世論を味方に付けたおかげでもある。
安倍首相は企業経営者、専門家、利益団体などが参加するさまざまな官民委員会を設置し、各界の意見を反映するとともに、メディアを通じ、国の改革方向を随時国民に説明した。
「3本の矢」という分かりやすいスローガンで強いメッセージを発することにも成功した。

それに財界が応え始めた。円安のプレゼントをもらった大企業は輸出で稼いだ利益で雇用を増やした。
余暇を増やし、消費を促進しようという政策にも多くの企業が応じた。野党が安倍政権の法案を妨害することも、大企業労組が構造調整に抗議してストライキに及ぶこともなかった。政治が手動し、
官僚と財界が力を合わせた産官政協力の産物こそ今目にしている日本の復活だ。

日本が復活した秘訣を探れば、韓国の失敗理由が分かる。
国家戦略を率いる政治的リーダーシップ不在、政府の足を引っ張り、政府に失敗させるために存在する国会、
既得権益を守ることに血眼になっている労組と利益団体は韓国社会の特徴として定着している。

誰しもが答えを知っていながら、誰もそれを解決できない不能国家が韓国の現在の姿だ。
先ごろ韓国経営者総協会(経総)の会長が「韓国は不可能なことがない国だったが、現在は何もできなくなった」と語った。この劇的な逆転の原因は結局「政治」だ。

韓国の大統領選候補の中に「不可能はない国」をつくろうという候補がいるだろうか。選挙情勢を見るにつけため息が出る。