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サウジ債務への不安、記者殺害疑惑で増幅
カショギ氏の失踪以来、同国のデフォルトに対する保険料は30%上昇
By Rory Jones 2018 年 10 月 18 日 16:28 JST

【ドバイ】著名記者のジャマル・カショギ氏を殺害したとされる疑惑を巡ってサウジアラ
ビアが外交危機に直面するなか、投資家は最近になって急増した同国の債務に対する懸念
を強めている。
2016年5月からの2年間で、サウジがドル建て国債やシンジケートローンで調達した資金
はゼロから680億ドル(約7兆5600億円)に増加した。フィッチ・レーティングスのデー
タによれば、そのペースは新興国の債務増加の中でも最も速い部類に入る。

サウジのデフォルト(債務不履行)に対する保険料はカショギ氏の失踪後に約30%上昇し
た。サウジはなお他の新興国市場に比べて安全だと考えられているが、保険料の上昇は、
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の外交や政治における破壊的な動きについて、投資家
が懸念し始めていることを示す。

欧米の企業幹部や事業アドバイザーは、来週リヤドで行われる投資会議への出席を相次い
で取りやめている。宇宙探査計画での英実業家リチャード・ブランソン氏とサウジの提携
など、事業案件は停滞している。カショギ氏殺害疑惑の前でさえ、外国からの投資は歴史
的な低水準に落ち込んでいた。
 
サウジは記者失踪への関与を否定している。だがサウジ政府と米国の関係は緊張し、サウ
ジに対する国際的な制裁の可能性も浮上している。
エミレーツNBDアセット・マネジメントの債券部門ディレクター、パース・キカニ氏は
「最近の展開で投資家のリスクは明らかに高まっている」と述べた。「しかし、こうした
問題は解決され、焦点はファンダメンタルズに戻るとわれわれはみている」という。