AI時代のビジネスモデル

「無人運航船」が物流の未来を変える 欧州・日本で開発競争加速
K・D・アダムソン(未来学者)
https://www.projectdesign.jp/201802/ai-business-model/004513.php

AIによる自動運転化が期待されているのは、自動車だけではない。
現在、ヨーロッパを中心に海上の自動運転、「無人運航船」の開発が進められている。実現による海運・造船業界へのインパクトは大きい。

欧州各社が研究開発に着手
IoTやAIを活用し、船舶の運航を完全に自律化する「無人運航船」の研究開発が加速している。イノベーションの震源地はヨーロッパだ。

いち早く研究開発に着手したのがイギリスのロールス・ロイス。2015年に産学による無人船共同開発プロジェクトAAWAを立ち上げ、概念定義や要素技術開発を進めてきた。
また2017年10月には無人運航船のAI開発でGoogleとの提携を発表している。同社は2020年までに地域海域レベルで遠隔操作による船舶運航を目指しており、
2030年に公海での遠隔操作船、そして2035年には公海での無人運航船が実現すると予測している。

窒素肥料大手メーカーのYARA(ノルウェー)は船舶システム開発のKongsbergと組み、完全バッテリー駆動の無人コンテナ船の開発をスタート。
2019年初頭に遠隔操作の実証実験に着手し、2020年に完全自律運航を実現するというロードマップだ。
2017年9月に全長6m、2.4トンモデルの実証船を公開し、将来的に100〜150TEU級の無人コンテナ船の建造を目指す。
YARAはノルウェー国内で無人コンテナ船を工場から港湾までの肥料輸送に活用し、年間4万回分のトラック輸送を削減、合理化と環境配慮を進める考えだ。

日本でも、日本郵船とNTTなどが2018年をめどに世界初となる自動運航船の公海上実証実験を計画中。ま
た、政府の未来投資戦略2017にも「自動運航船による海上物流の高度化」が盛り込まれた。自動運航船の設備や運航に関する国際規格策定をリードし、
「運転効率化のための最先端のデータ伝送技術等を活用した先進船舶が、2025年までに250隻程度で導入されることを目指す」としている。

@無人運航船により海運の抜本的な透明化・超合理化が起こり、需要予測のあり方が変化する。より大規模な船舶群(フリート)やより小型の船舶が登場する。

A造船所の役割が変化する。電動船舶、故障予知に基づいたメンテナンス、3Dプリンタによる港湾単位での部品建造などが普及する。時間割やリース型のビジネスモデルも求められるようになる。

B船舶は巨大なインテリジェントシステムの一部となり、輸送システム全体で船舶・車両・ドローンが最適配置されるようになる。