難民殺到で岐路に、カナダの優しい移民政策
4月だけで2600人の不法移民が米との国境を越えた
By Kim Mackrael
2018 年 5 月 16 日 14:12 JST 更新

 【ペリーミルズ(米ニューヨーク州)】ある日の夕方、
ナイジェリアとマリから来た少人数のグループがペリーミルズでシャトルバスを降り、
スーツケースを引きずりながら、カナダ国境に向かって田舎道を歩いて行った。
国境ではカナダの警官が一人、彼らを逮捕しようと待ち構えていた。

 このグループは、逮捕の恐れがあるにもかかわらず、
ここ数週間でカナダに押し寄せている新たな難民の波の一例だ。
この最新の動きは、カナダの難民に優しい政策姿勢を脅かしている。

 カナダ警察のデータによれば、こうした形で国境を越える不法移民は4月だけで
ざっと2600人に達した。昨夏には約8500人の難民申請者が殺到した。

 こうした難民のうねりは、カナダにとって新たな試練となっている。
同国は地理的にアフリカや中東、中米から離れていることから、伝統的に余裕を持った
移民・難民政策を維持できてきた。欧州はアフリカや中東から大量流入する難民に、
米国はメキシコや中米からの不法移民に頭を痛めている。

 「カナダ国民は、これまでずっと難民や移民に対して非常に好意的だったが、
ここに来てイタリアやギリシャなどが直面しているものと同様の課題に取り組まざるを
得なくなっており、それほど簡単な問題ではないことに気付き始めた」と、
カリフォルニア大学バークレー校で移民問題を専門とする
アイリーン・ブルームラード氏は話す。