生活保護費を搾取する貧困ビジネス施設から立ち直った女性の半生
http://diamond.jp/articles/-/132850

浩美さんの入所していた施設は、典型的な「貧困ビジネス」であった。
生活保護費は施設が全額預かり、8畳程度の部屋に2段ベッドが3つの「住」と、
1人1日の予算が約100円という「食」を提供していたが、その生活保護の受給者本人である入所者に対しては、
1日90円の小遣いしか渡されなかった。缶ジュースを1本買うことも、古本屋で本を1冊買うことも難しい。
靴や服が破れても買い替えられない。もちろん、電車にも乗れない。

経済的に軟禁していたようなものである。

それにしても、これまでの浩美さんの歩みのあまりの苛酷さには、溜息が止まらない。
少なくとも施設入所時は、生活保護のもと、福祉事務所やケースワーカーも関与していたはずだ。誰にも何もできないのは、なぜだろうか。

精神科病院の看護師として、入院患者の看護を含む長年の職務経験を持つ有我譲慶(ありが・じょうけい)さんは、
「国や行政は社会保障費抑制を進めているわけですが、そういう施設には利用価値があるんでしょうね」と語る。

「何らかの問題を抱えた“厄介”な人を受け入れ、収容してくれる施設や病院は、行政にとって好都合という側面があるんです。
過去には、施設や病院の側から、警察や保健所などの行政に“営業”活動をしていた事例がありました。
現在も、寝る場所と食事だけを提供する収容所のようなサービス付き高齢者向け住宅を運営している医療法人もあります。
医療では充分な利益が確保できないとなると、入所施設で“貧困ビジネス”を展開するしかないのでしょうか」(有我さん)