>>108 《続き》
 そこへ昨年9月、第39代特捜部長に森本宏氏が就任し、3カ月後にスパコン・リニア両事件に当時着手した。3代前の特捜部長で
ある山上秀明東京地検次長検事とのラインが、不退転の決意で特捜復活を期し「官邸案件」をモノともせず突き進んでいるとの
見方が、「久しぶりに検察政局か」との観測を掻き立てている。
 …(略)…山上氏は…(略)…特捜部長時代には小渕事件で煮え湯を飲んだ。政権に追従する先輩たちに対する「怨念」を
読み取る向きがある。…(略)…
 両事件について「官邸の代理人」はどう動いたのか。スパコン事件摘発の直後、黒川氏周辺は検察記者たちに「山口氏のペジー社
顧問就任と助成金認可は時期が合わない。山口氏は準強姦疑惑が不起訴になってすぐ右派メディアで復権へ動き出し、官邸も
切り捨てたいのではないか。いずれにせよ政権を揺るがす事件にはならない」と火消しに回った。仮にそうした面があったとしても、
先に列記した痕跡が多数残る以上、捜査に幕を引いても一強政権が放つ腐臭にフタをするのは容易ではないはずだ。麻生氏はまたも
恥辱にまみれる。
 リニア事件はプロジェクトの大きさと構造的腐敗の根深さから、着手した以上は捜査の幕引きもままならない。「大阪開業前倒し」
を名分として財投融資の音頭を取ったのは誰だったのか。わずか1カ月で閣議決定された政治力学はどうなっていたのか。安倍首相
の関与の具合も「モリ・カケ・スパ」とは次元が違う。財政融資も国債と同じ借金に違いはない。JR東海社内には、歴史的偉業の妄執
に取り付かれる葛西氏の時代錯誤な老害ぶりに不満が根強くくすぶっている。事件の発端は内部告発だった。「夢」を断念させるため、
「反葛西」勢力が後ろから弾を撃つ展開になれば、特捜部も勢いづく。