友だち同士で遊ぶ絵も…東京で日朝韓の子どもの絵画展 清水大輔 2018年2月16日11時32分

 平昌冬季五輪で韓国と北朝鮮の融和ムードが広がるなか、
日本も含めた子どもたちの絵を展示する「南北コリアと日本のともだち展」が16日、東京都千代田区で始まった。
北朝鮮の核・ミサイル問題の影響も受けてきたが、主催者は「今こそ、素顔の一面を伝えたい」と意義を語る。

 2000年に南北首脳の対話が実現し、韓国の市民団体が日本側に声をかけてきたのがきっかけ。
食糧支援のために北朝鮮を行き来していた日本のNGOが間を取り持った。
日本、韓国、北朝鮮の小学生たちに毎年、「友だちへの自己紹介」をテーマに絵を描いてもらってきた。
11年から中国の子どもも加わり、巡回で展示してきた。

 ただ、実行委員会の事務局を担う「KOREAこどもキャンペーン」事務局長の筒井由紀子さんは
「国際情勢の変化に何度も影響を受けてきた」と振り返る。

 初めに平壌市内の小学校で渡された絵は故金日成(キムイルソン)国家主席の誕生日を祝う催しなど、
子どもが素直に描いたものとは思えなかった。
日本の朝鮮学校の児童が描いたサッカーで遊ぶ絵などを見せ、優劣を競い合うものでないことを伝えた。
 「今度会ったら一緒に縄跳びしよう」という日本の子どもの手書きメッセージなどで、
緊張をほぐしていった。次第に友だち同士で遊ぶ絵が増えていった。

 当初は日本の外務省や、韓国の文化広報を担う韓国文化院の後援もあったが、
02年の日本人拉致の発覚や、08年の対北強硬政策をとる李明博(イミョンバク)政権の誕生などでなくなった。
離れていく市民団体もあった。平壌外国語大学の学生との交流のため、
12年から日本の大学生も一緒に訪問するが、核実験やミサイル発射が繰り返され
米国との軍事衝突の恐れもあった昨年は事務局メンバーだけにとどめた。

 国際情勢を緊迫化させる北朝鮮の行動に筒井さん自身、失望を感じることもある。
「ただ、それが北朝鮮のすべてでもない。子どもたちの絵もあの国の素顔の一部。それを見て考えてほしい」
 今回は南北から各約25点、日本の約75点などを展示する。「アーツ千代田3331」で
16〜18日午前10時〜午後6時。無料。問い合わせは実行委(03・3834・****)。(清水大輔)

ttps://www.asahi.com/articles/ASL2G6GBRL2GUTIL053.html