【社説】イラン巡る「幻想」を打ち砕くデモ
宗教指導者ではなく、市民の側に立つトランプ政権
2018 年 1 月 4 日 14:10 JST

 イランの反政府デモは発生から6日たっても収まる気配がなく、
同国全土に広がっている。国の実権を握る宗教指導者やイラン革命防衛隊(IRGC)は
強硬な取り締まりを警告しており、一段と厄介な事態になりかねない。
この自由への戦いは、オバマ前米政権を支配していたイランを巡る幻想を露呈している。
世界はこの戦いを支援すべきだ。

 発端は、イランとの核合意に署名すれば、同国の振る舞いが穏健になるという
主張だった。バラク・オバマ前大統領の外交政策のスピーチライターを務めていた
ベン・ローズ大統領副補佐官は2015年6月、「イランとの合意が成立した世界は、
合意がない世界よりも、イランの行動に革命をもたらす公算がはるかに大きい」
と述べた。

 オバマ氏はその合意が「イランの穏健派リーダーの影響力を強める可能性がある」
と語った。さらにジョー・バイデン前副大統領の国家安全保障担当補佐官だった
コリン・カール氏は15年、イランは「資金の大部分を銃に費やすことはせず、
大半をバターに投入するだろう」との見方を示した。
その目標に向けて、核合意にはイランに対する国際的な経済制裁や
1000億ドル(約11兆2000億円)相当の資産凍結を解除することが盛り込まれた。

 だが合意によって転がり込んだ資金は、市民生活の向上ではなく、
中東全域で紛争を引き起こす各種勢力を陰で支えるのに利用されてきた。
シリアのバッシャール・アサド大統領に軍隊や武器、エネルギー源を供給するために
イランの宗教指導者は数十億ドルを投じた。またイラクのシーア派民兵組織や、
シリアやレバノンで活動するシーア派武装組織「ヒズボラ」、
イエメンの反政府武装組織「フーシ」にも資金を提供している。