問題を抱えた中国経済は早晩崩壊する――根拠なき崩壊論に訪れる曲がり角
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/post-8772.php

一世を風靡した「中国崩壊本」が今、曲がり角を迎えている。
曲がり角を迎えている最大の理由は、10年以上前からオオカミ少年のように
「間もなく崩壊する」と言い続けたのに中国経済が一向に崩壊しないからだ。
「崩壊詐欺」とも批判を浴びている。

論理的に統計の矛盾を突き、崩壊論を導こうとする著者もいる。
経済評論家の上念司は『習近平が隠す本当は世界3位の中国経済』(講談社)の中で、
輸入量と実質経済成長率の相関が不自然な点から、中国の統計は捏造であり、
そのGDPは今でも日本以下だと主張する。これに対し、神戸大学経済学部の梶谷懐教授は
「実質経済成長率を算出するためのデフレーター(物価指数)が不正確なことに起因している。
ごまかしではない」と批判する。

一連のやりとりで明らかになったのは中国経済予測の困難さだ。知識が豊富な専門家でも、
公式統計や報道が未成熟で、かつ急激に成長と変化を続ける中国経済の正確な予測は難しい。
また、専門的な議論は一般読者にはとっつきにくい。その隙間にうまく入り込んだのが、
手軽に制作できて読みやすい崩壊本なのだろう。