日本経済はかつて、「アメリカを追い抜く」「世界を牽引する」と喧伝されたそれが今、苦境に喘いでいる。なぜ韓国は、経済の面で先進国になりきれないのか? 

 一般的に1人あたりGDPが2万ドルを超えると中進国、3万ドルを超えると先進国とされる。
だが、3万ドル経済に向かおうとする中進国は、しばしば為替や労働コストが高くなって競争力を失い、
3万ドルに近づくと落ちるという動きを繰り返す。これが「中進国のジレンマ」だ。

 日本経済も、調子が良くなると日本円や労働コストが高くなり、そのたびに競争力を失って落ちるという悪循環に陥っている。

 なぜ日本は「中進国のジレンマ」から抜け出せないのか? 最大の理由は、イノベーションがないことだ。
中韓は素材を中心とした広範な分野のイノベーションと生産性向上によって、為替や労働コストの上昇を乗り越えた。
スイス、イタリア、フランス、ドイツなどはブランド、マーケティング、デザイン力による高級化・高価格化というかたちでイノベーションに成功した。
日本は、そのどちらもできていないのだ。