一昨日行われたリオデジャネイロ・オリンピック陸上の男子400メートル・リレーで、世界が驚く出来事が起こった。
それはジャマイカのウサイン・ボルトが3大会連続の3種目制覇を達成したことではなく、日本が2位に入ったことだった。
日本は出場した4人の選手の中で、100メートルの自己ベストが10秒を切っている選手は1人もいなかったが、
9秒台の選手が並ぶ米国チームよりも先にゴールした。しかも予選ではボルトがいなかったジャマイカを抑えて1位に入っていた。
ボルトさえいなければ金メダルを取っていてもおかしくなかった。日本の友人に電話をかけると「和の精神だ」と言っていた。
この友人は「個人は弱くとも、団結すればより大きな力を発揮するという意味だ」と説明した。

 リレー競技は徹底した分業だ。第1走者はスタートの合図に素早く反応できる瞬発力に優れた選手が担当する。
チームに加速度をつける第2走者は直線でのスピードが求められ、第3走者はコーナーでの走りに強い選手が入る。
最後まで走り切る第4走者は度胸が据わった選手が良い。日本陸上競技連盟は
「絵画、彫刻、そしてそれらを調和させる役割が分かれた伝統芸術の浮世絵に似ているのが陸上のリレーだ」と説明する。
それぞれのステージで自らの役割を徹底して果たし、不良品が出れば次の段階に進ませないということだろうか。

 リレーでバトンパスを行うテークオーバーゾーンは400メートルのうち60メートルを占める。日本は合宿でスポーツ科学に立脚したトレーニングを重ね「隠された1秒」を短縮した。
日本のチームはバトンを手渡すときに「アンダーハンドパス」を採用している。
バトンを受け取る選手の手のひらが下を向いた状態で、手渡す走者は下からバトンを渡す。逆に上から渡す場合は「オーバーハンドパス」になる。
日本は徹底した科学的分析を行い、2001年からアンダーハンドパスを採用している。
アンダーハンドパスには選手同士が非常に近づくという欠点もあるが、練習を重ねることでこの欠点を克服さえすれば、全体のスピードが落ちることはない。

 日本は陸上短距離種目の強化計画に基づき、2000年代から才能ある選手たちを米国に留学させている。
今回は100メートルで10秒を切れそうな若い選手を一つにまとめて素晴らしい作品を作り上げた。
ちなみにリレーの最終ランナーはジャマイカ人の父を持つケンブリッジ飛鳥だった。
彼は2歳の時から日本で育ち、自らを「完全な日本人」と呼ぶ。
4人は登場の際、刀を振りかざす「侍パフォーマンス」で日本人の誇りを刺激した。

 日本が熱狂している時に、韓国ではため息ばかりだった。陸上競技はスポーツにおける基本中の基本だ。
今回のリオデジャネイロ・オリンピックの306個の金メダルのうち47個が陸上競技だ。
中国も陸上競技の強化に力を入れ、今では陸上強国として優れた選手を多数輩出している。
しかし韓国ではメダルが期待されそうな選手さえ見当たらない。
男子100メートルに出場したキム・グクヨンは予選で脱落したが、実は彼は100メートルで韓国から20年ぶりに出場した選手だった。
陸上界も政府も陸上競技のビジョンがなく、2011年に大邱で開催された世界陸上ではボルトを目にするだけで終わった。
韓国は自分たちを「スポーツの世界10大強国」などと自画自賛するが、実際は走ることさえまともにできないほど弱々しい。
これが韓国スポーツ界の実情であり素顔だ。

スポーツ部=閔鶴洙(ミン・ハクス)次長・論説委員

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