スキンシップは手のひらでする。右手で、時には左手で、ルドルフの首すじ、腰から尻にかけたあたりを優しくさする。
このタッチングのねらいは、ウマ娘の気を落ちつけること、その一点にしかない。必要とあらばボクはそれを何度もくり返す。
ルドルフの心に大きな落ち着きがあらわれるまで、やめない。

ボクはルドルフの体をなでた。最高級のベルベットに触れたように、その表面はやさしかった。

ボクはルドルフと出会うまで、ウマ娘がこんな生物だとはまったく考えもしなかった。
こんな夢みたいなことがあるのか、とボクは自分の感覚を疑った。
だが、それは実際にボクの目の前で起こっていることだった。