白井聡
京都精華大学人文学部専任講師(政治学・社会思想)

五輪の延期(あるいは中止もあるかもしれない)が確定的になるやいなや、「封鎖」の可能性を口にし始めるとは、実に分かりやすいですね。

「開催都市の知事という立場上、これまで危機感を煽るようなことは言えなかったのだ」というやや同情的な見方もあり、それはそれなりに真実ではありましょう。

しかし、そのような言動を知事に強いる構造がそもそもおかしいのではないか。
五輪は、人道を軽視してまで開催できるふりをしなければならないイベントになってしまった。
五輪の本来の精神からどれほどかけ離れたことだろうか。

単に、1年後とか2年後に開催すればよいという問題ではない。
国威発揚の企みと経済利権のドロドロで汚れきった五輪は、今後も続けるに値するのか問われるべきでしょう。