奈須氏:
 エンディングを迎えたときに,それまでの喜びがすべて悲しみに変わったんです。「俺は明日から何をすれば良いんだ……?」という喪失感に包まれた。1日中ボケーッとして,人生というものが分からなくなりました。
 やがて思考力が戻ると,「ゲームにはものすごい力があるんだな」と再認識できたんです。当時から物書きを目指してはいたんですが,ゲームにおける“充実からの喪失”が頭から離れなくて……。
そこから,奈須きのこは“ゲーム”というプラットフォームに傾倒していったんだと思います。

梶田氏:
 なるほど。奈須さんのゲーム体験とは,物語の終焉における“カタルシス”なんですね?

奈須氏:
 そうかもしれません。ひとつの世界にお別れを告げることへの悲しさと,それを経たことで得られる人間的成長
。……というのは,少し言い過ぎでしょうか? いつか自分も“その感覚”をRPGにしたいと思っていたんです。


奈須氏:
僕が最初に「FFIV」をクリアしたときに食らった喪失感を,みんなにも受け取ってほしいんですよ!




喪失感を受け取ると成長できるんだ🤗