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きざ【刻】
〘名〙 きざみつけた筋。きざみめ。
▷ 古活字本毛詩抄(17C前)五
「剋と云は矢に百剋のきさをする程にぞ」
▷ 高野聖(1900)〈泉鏡花〉一七
「木の丸太を渡る〈略〉引かかるやう、刻(キザ)が入れてあるのぢゃから」
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きざみ【刻】
〘名〙 (動詞「きざむ(刻)」の連用形の名詞化)
@ 切って細かくすること。また、刻み目。きだみ。
▷ 書紀(720)大化二年正月(北野本訓)
「凡そ駅馬・伝馬給ふことは、皆鈴・傅の符(しるし)の剋(キサミ)の数に依れ」
▷ オールド・ノース・ブリッジの一片(1968)〈島尾敏雄〉
「時計の針は三時を指し終わって次の一分目のきざみに移ろうとしていた」
A 階級。等級。身分。
▷ 源氏(1001‐14頃)桐壺
「今一きざみの位をだにと、贈らせ給ふなりけり」
B 折。時。場合。時節。
▷ 源氏(1001‐14頃)帚木
「とあらむ折も、かからんきざみをも、見過ぐしたらん中こそ、契深くあはれならめ」
▷ 太平記(14C後)四
「笠置の城攻め落さるる刻(キサミ)、召し捕られ給ひし人々の事」
▷ 読本・昔話稲妻表紙(1806)四
「若殿桂之助どの在京の刻(キザミ)、藤浪どのの艷色に迷ひ」
C 時間、長さなどにおいて、規則正しく短い間隔をとること。また、その一つ一つの間隔。「五分刻み」のように、接尾語的用法もある。
▷ 邪宗門(1909)〈北原白秋〉魔睡・室内庭園
「腐れたる黄金の縁の中、自鳴鐘(とけい)の刻み」
D 「きざみタバコ(刻煙草)」の略。
▷ 浮世草子・好色旅日記(1687)二
「山科、藪の下たはこの名物、此きざみをのんで輪をふけば」
E 能楽で、撥(ばち)を低く扱い、太鼓、鼓などを小刻みに軽く打つこと。また、その音。
▷ 禅鳳雑談(1513頃)中
「鼓、其うたいのやうに打つべし。京がかりは、きざみに力を入れてかしらのごとし」
F 歌舞伎で、幕になる時、拍子木を小刻みに、しだいにゆるやかに打つこと。
▷ 歌舞伎・梅柳若葉加賀染(1819)四立
「これをキザミにて拍子。幕」
G 浄瑠璃で、文句を一語一語、区切って語ること。
H 為替相場の高低する単位。あゆみ。
I 病人や老人向けに、細かくきざんで出す食事のおかず。
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