低用量アスピリン療法|日本医科大学付属病院
https://www.nms.ac.jp/hosp/section/female/guide/_24735/cure002/cure001.html

ぜ抗リン脂質抗体があると流産や死産が起こるかについてはいろいろな原因が考えられますが、
主に自己抗体による絨毛間腔(胎盤の母体血液から酸素や栄養のやりとりをする場所)における血栓形成の亢進によって引き起こされていると考えられています。

すなわち、このような重要な場所で血栓が生じ、血液循環が障害されれば、胎児(芽)に酸素や栄養が行き渡らなくなり、胎児死亡・流産が起こるのです。

また、最近では抗リン脂質抗体症候群とならび、血液凝固異常状態でも流産や死産、妊娠中毒症などが起こることがわかってきました。

こうした病態に対して、アスピリンが用いられています。アスピリンは古くから解熱鎮痛剤として汎用されていることはご存じの通りです。

アスピリンの大人の常用量は1000〜4500mg/日とされています。

このアスピリンを少量(40〜100mg/日)服用すると、抗凝固作用があることがわかってきました。

このことは最初に海外での心筋梗塞や脳梗塞(ともに血栓が原因)に対する調査で明らかになりました。

今では心筋梗塞や脳梗塞の再発予防薬として市民権を獲得し、バファリン81とバイアスピリン(100mg)は保険にも収載されています。

では、流産や死産に対して効果はあるのでしょうか。
1980年代後半に、抗リン脂質抗体症候群による流産を繰り返している妊婦にはアスピリンの効果を認めるという初めての報告がされています。
特に妊娠中期(妊娠13週以降)に流・死産の既往がある場合は、アスピリン服用の効果があるといわれています。

しかし、抗リン脂質抗体をもつ不育症の患者さんの人口は、心臓病や脳血管疾患の患者さんに比べるとずっと少ないため、
大規模な調査結果がなく、不育症でのアスピリンの効果が科学的に立証されているとはいえません。

しかし、副作用が少ないこと、上記のように実際に抗リン脂質抗体症候群で有効性であるという報告があること、特にヘパリンとの併用で有効性が実証されていることなどから、
当院では抗リン脂質抗体が陽性の方には低用量アスピリン療法を推奨しています。

低用量アスピリン(81mg/日)