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「ヒトちゃん卒業したら世間に出るっていうことだがね。もうオレも勝君も世間に出て真面目にやっとるがね。まだ卒業してすることがあるのかな。なんだろう…オレさ、実はさ、前の市長の河村とかいうの提唱、いや、アレの求める名古屋市の街造りをするための下準備したのだわね。緊急逮捕で精神病院に一年二ヶ月居たわ。二十キロ太ってヘルニアになったわ。」

「卒業って、もうそれはやめたらどうなの、って意味だがね、先輩何も知らないもんね。物識りだけど普通のことは何も知らないどころか全部否定していたからなあ、アタシ先輩が結婚式でグランドピアノを用意するとか言い出した時、内心ウワァ…メチャクチャなこと考えているなあ、皆、後輩がまた先輩に負けないようにピアノ習うとか言い出したらどうするの、ゴルフやらお酒やら遊び場所ばっかり勝に教えてさあ変なお店行ったりしていないよね、商売女のところ。」

「ええ、オレ、そういう店は知らんわ。必要無いわ。意味あるのかねアレは。ヒトちゃん知っているのか。」

「ほら、先輩の後輩でデカリサっていたでしょう。あれがそういうお店で仕事して、シンナーで死んでいたでしょう。何故か先輩、あの時は、葬式来なかったらしいね。先輩の同級生が一人だけ来ていたって聞いている。あれがヒロ兄を事故で殺したとか噂が出てから直ぐ亡くなったんだってね。」

「昔のことなんか もう忘れちまいたいよ これでも昔は随分、気取ってたあのおさ。慰めた女 慰められた男 酔いどれて演じては逃れようも無いようなダンスに明け暮れて――壊れそうなりそうな 頭では解ってることも身体がついてかなくてよ。〜ねえ。儲けあった奴らとも今じゃ遠い縁になってさ いろいろ覚えたよ 一番嵌められたのは誰、ってねえ、オレががいつでも嵌められていたかなあ。」

「先輩、久しぶりにカラオケでも行きましょうか。瞳どこか良いとこ予約してちょうだい。先輩が歓びそうなところ解るだろオマエなら。はよしよ。」

「もう、また大騒ぎになるんやないの。ねえ先輩いろいろアタシの話聞いてちょうだい。ちょっと待ってね、良いところ知っている私。あそこなら良いと思う。お酒も一杯あるよ。モエが好きでしょう。響はあるかなあ…」

「いいの、甘えちゃうよ、ヒトちゃんの話が気になるわ、どうしたんだろうなあ…(大きく問題無く育てて良かったわ。あの時のオレの言った事は間違って居なかったわね。普通にねえ、時間に追われる生活では良い子どもが育たないわねえ。お金より時間の方が尊い価値あるものやよ。ヒトちゃんなら解るでしょう。勝君も解るように思うけどなあ、あまりオレ人に物いうのやめたんだわ。酷い目に合うもんな。エピクロスの教説と手紙ばっかり読んでいるよ。」

「ああ!!!先輩家の一番下のこの子が今度小学校なの、ねえ、綾香、こちらいらしゃい。何を恥ずかしがっているの。先輩に挨拶くらいしなさい。あなたもう小学生なのよ。先生に挨拶しないといけないんだよ。先輩にも挨拶したほうがいいんじゃないの。ほら。」