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成分[ソースを編集]

麝香の甘く粉っぽい香気成分の主成分は15員環の大環状ケトン構造をもつムスコン(3 - メチルシクロペンタデカノン)であり0.3 - 2.5% 程度含有する[1][5]。
そのほかに微量成分としてムスコピリジン (muscopyridine) などの大環状化合物が多数発見されている[5]。有機溶媒に可溶な成分のうちで最大20%程度含まれている。
この他に男性ホルモン関連物質であるC19-ステロイドのアンドロスタン骨格を持つアンドロステロンやエピアンドロステロン (epiandrosterone) などの化合物が含まれている[5]。
ムスコンが2% 以上、C19-ステロイドが0.5% 以上のものが良品とされる[1]。麝香の大部分はタンパク質等である。
麝香のうちの約10%程度が有機溶媒に可溶な成分で、その大部分はコレステロールなどの脂肪酸エステル、すなわち動物性油脂である

役割[ソースを編集]

ジャコウジカは一頭ごとに別々の縄張りを作って生活しており、繁殖の時期だけつがいを作る。
そのため麝香は雄が遠くにいる雌に自分の位置を知らせるために産生しているのではないかと考えられており、性フェロモンの一種ではないかとの説がある一方[1]、分泌量は季節に関係ないとの説もある[2]。

他の麝香、ムスク

ジャコウジカから得られる麝香以外にも、麝香様の香りを持つもの、それを産生する生物に麝香あるいはムスクの名を冠することがある。
霊猫香(シベット)を産生するジャコウネコやジャコウネズミ、ムスカリ、ムスクローズやムスクシード(アンブレットシード)、ジャコウアゲハなどが挙げられる。

また、単に良い強い香りを持つものにも同様に麝香あるいはムスクの名を冠することがある。 マスクメロンやタチジャコウソウ(立麝香草、タイムのこと)などがこの例に当たる