「論文というと、やはり、マルクス資本論くらいの分量があったりすのかね。何枚くらい書くのだ。オレは知らんで教えてちょう。」

「少しやよ。しかも横書き。明治時代の学者は確かに縦書きで論文書いているわ。どうしてそういうところに気が付くの。」

「長井長義という初代薬学会会頭の書いた論文を読んだだけのことで、そう感じるだけのことやわ。まだ研究していないけどね、どういう表記法が良いかなと勘考しとるところやよ。長井長義はドイツ語しか使わないように用心していたんだとさ。何か意味があると思うわ。医学も昔はドイツ語でしょう、カルテもドイツ語やし、オランダから来て次にドイツ医学。言語の緻密さに意味があるように思うわ。しかし日本語喋るとおきは普通に喋ったんだとさ。墓参りしたいんなあ…ナガヸ錠とかね、まあ良いわ。あんまり細かいことは良いわ。部門がオレ達は違うでね。自分の得意分野や好きな部門でやってみることだわ。自分に素直になることやよ。みんなオレ達のネットの仲間は応援してくれとるでの。BBSという掲示板があるのやわ。出来の悪い兄で悪いなあ…」

「いや、そんなこと言わんでください。オレが何なのか解らなくなってしまう。」

「僅か数年でも思考様式は日本社会の場合だと変わるのだわ、何故かというと教育制度がガラッと変わるでね。ある意味今の若い世代は被害者のようなものだと思うけど、皆、一生懸命に活躍しとるよ。オレは先輩に可愛がってもらえるで、オレも同じように可愛がってみたいのだけど、何故か皆優秀な人に見えてしまってね…さとり世代だのZ世代だの意味わからんわ。そんなに変わるのかな、と思ってさ、時子叔母さんに学校の教科書をもらえんか交渉というかお願いにいったことがある。東北震災の後やわ。時ちゃんは学校主任やったでしょう。だでそういうものをくれると思ったのだわね。すると顔色変えて無いです、ごめんなさい。

そんなことを言っていた。時ちゃんは英語もハングルも何語でもツッと覚えて修得しちまうくらいだで利口やと思うわ、だでさ、現状の教育制度の何がそもそも悪いのか薄々気が付いていたんだと思うよ。

ほんで、あれだがね、こないだね、愛知県の忍さんに二十年越しの仕返ししてやったわ。
ジイが忍さんがオレが死んだらオメガとラドーの時計をもらいますといったんやとさ、昔、運転士としてジイの専務として仕事の手伝いをしとるときにね、そう聞いたのだわ。

二十年は言い過ぎだわ、十五年くらいかな、いや、二十年くらいか。オレがまだ小僧の小学生だった頃の話で実際に覚えているでなあ。あれ庄屋、名主とかいう階級らしいわ。そう良い階級やないけども、姉ちゃんが結婚したので焦って負けん気が強い時ちゃんはお見合い結婚したわの。
御母もお見合いだでなあ、家が三つあるといったらお父は吃驚していたらしい。ジイがね、家族みんなの集合写真で犬山城やと思うけどもそこで撮影した写真にね、お父んの顔だけマジックインキで黒塗りにしてあったわね。
まあ、自分の娘をやったのに悔しい思いしたに違いないと思っての、お父の兄さんの多治見の家に電話しての、どういうことやの、今すぐ銭返してくれと怒鳴りつけた事は覚えているが、あまりに癇癪起こしたので意識が飛んでしまったわ。
癲癇発作ではないわ。癇癪持ちも度が酷いと二日三日、酷いときは素面で一週間寝れん時があるのだわ。そういうときに譫妄状態になる。

だで寝ることは大事やにん。極限状態まで根詰めて何かに取り組んでみてl、グッスリ寝てみると、朝起きた瞬間に形になって良いものが出てくる場合があるよ。
駄目な時は何をやっても駄目だで、無理しないこと。重要やよ。健康第一だでの。