凪良ゆう氏の小説「流浪（るろう）の月」（東京創元社刊）の映画化が決定。主演を務めるのは、広瀬すずと松坂桃李。監督・脚本を「悪人」「怒り」の李相日が務め、8月上旬にクランクイン。2022年の全国公開を予定していることがわかった。

「流浪の月」は、2020年の本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1位（日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門）に輝いた傑作小説。9歳のときに誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性と、その事件の“加害者”とされた当時19歳の大学生――いつまでも消えない“被害女児”と“加害者”という烙印、そして事件の契機となったそれぞれの秘密を抱えたまま、2人が15年後に再会を果たすさまを描いている。

雨の夕方の公園で、びしょ濡れの9歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは、19歳の大学生・佐伯文だった。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2カ月を過ごすことになる。が、やがて文が更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後。「傷物にされた被害女児」とその「加害者」という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。

「怒り」に続く2度目の李監督作品への参加となった広瀬は、家内更紗（かない・さらさ）役として参加。李監督とは初タッグとなった松坂は、佐伯文（さえき・ふみ）を演じることになった。「いのちの停車場」（成島出監督）でも共演した2人は「私は毎日なんだか、どこかずっと緊張しています」（広瀬）、「全身全霊でいきます」（松坂）と思いの丈を述べる。

一方、李監督は「『怒り』以来ですが、広瀬すずとは必ずまた映画で再会する。疑いのない確信と、強い願望を常々持ち続けていました。松坂桃李君のこの作品への意気込みには驚嘆するばかりです。身体つきはもちろん髪や体毛の一本一本、皮膚感に到るまで役に向けて丁寧に積み上げていく執念には心が震えます」と説明。「二人の眼差しが重なり、互いを慈しむ優しさに溢れた時、自分がどれほど心を奪われるのか…待ち遠しくてなりません」と今回のタッグに期待を寄せている。