総務省消防庁OBの天下り先の公益法人が認定する
国家資格がここ数年の間に相次いで設けられ、法人が実施する
新たな講習も始まった。
ビルの高層化などで防災強化を図った結果だが、
資格取得費用が高額な上、再講習が義務付けられることもあり、
ビル管理の現場からは「安全の大切さは分かるが、統合できないものか」
との戸惑いや批判の声も上がっている。

 資格認定などを実施しているのは「日本消防設備安全センター」と
「日本防火協会」。行政刷新会議がヒアリング中の290法人の中に
含まれているといい、公益法人などを対象とした「事業仕分け」第2弾で取り上げられる可能性もある。

 消防関係では以前から防火管理者や消防設備点検資格者といった
資格があったが、死者44人を出した2001年の東京・歌舞伎町のビル火災後に
消防法が改正され、03年からは劇場や風俗店などが入る建物を対象にした
防火対象物点検資格者の認定が始まった。

 資格取得には日本消防設備安全センターが実施する4日間の講習を受ける必要があり、
費用は4万5000円。5年ごとの再講習(費用約1万円)も
義務付けられている。

 その後も、大規模なビルを対象にした、資格や講習の新設が相次ぎ、
同センターが08年には「自衛消防業務講習」、09年には「防災管理点検資格者」
を新たに始め、日本防火協会などが09年に「防災管理者」の資格認定を始めた。

 東京の場合は、東京消防庁OBを受け入れている東京防災指導協会が、
06年に「防火安全技術講習」を、07年には「防火管理技能講習」を始めた。
講習修了書を交付され、5年ごとの再講習が義務付けられている。

 こうした現状について、東京都内のビル管理会社の男性社員(49)は
「講習費用が高すぎる。内容が似ていることもあり、統合してもいいのではないか」と
指摘している。