経団連が25日にまとめた平成29年春闘の第1回賃金回答集計(13業種63社回答)によると、定期昇給と基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)をあわせた大手企業の賃上げは、前年より0・01ポイント低い2・18%でほぼ横ばいだった。回答額は7155円となり前年を19円下回った。

 ただ、安倍晋三政権が企業に賃上げを呼びかける「官製春闘」の下、賃上げ率は4年連続で2%を上回り、金額は7千円を超える高水準となった。大手企業では1人当たりの賃金が、この4年間で約3万円増えた計算になる。経団連は「各企業が収益に見合った積極的な対応をしており、賃上げの流れは着実に継続している」と評価した。

 製造業の賃上げ率は2・20%で回答額は7186円、非製造業は2・09%、7041円だった。業種別では自動車が賃上げ率2・46%、金額は8555円でトップだった。完成車メーカーは賃上げをやや抑制したが、部品大手など系列の賃金改善が寄与したもようだ。

 ただ、賃金改善が進む一方で国内の個人消費は改善していない。社会保障費などの増加で賃上げが消費に結び付いていないとの指摘もあり、経団連は政府に対し社会保障改革などに取り組むよう要請している。

 同調査は大手企業21業種の252社が対象。経団連は6月中に最終集計を発表する予定だ。
http://www.sankei.com/economy/news/170425/ecn1704250037-s1.html